中学生に電子辞書って必要なの？

中学生に電子辞書って必要ですか？

　
中学生の親御さんから、こんなご相談を頂きました。

「中学生に、電子辞書って必要なのでしょうか？」

結論から言いますと、

電子辞書は、「必要というほどではありません」。

つまり、中学生には「なくても大丈夫」な道具です。

もちろん、“買わないほうがよい”とまでは
言いませんので、

親御さんご自身が使うなら、
お子さんと共用はできます。

ただ、電子辞書はそれなりに高価である一方、

必ず成績が上がるような、
“魔法の道具”ではありません。

このことを知ると、

ご予算で悩んでいた方も、気持ちが
楽になるだろうと思います。

ということで、

もう結論は出てしまいましたが――

以下では、

“なぜ”電子辞書が「なくても大丈夫」なのか、
背景をご説明しましょう。

■紙の辞書すら、中学生はほぼ不要

多くの先生が言わない話を
したいと思います。

電子辞書がよいのか、
冊子の辞書がよいのか、というのは、

教師の間でも議論がありますが、

多くの先生が忘れているのは、

そもそも、中学生に膨大な語彙は
要らないという点です。

高校入試に出る、

約５００種類の単語は
すべて教科書に載っていますし、

しかも教科書の欄外や巻末に、
意味もすべて記載されています。

つまり、

現行の教科書は、辞書なしで
学習できるデザインなのです。

入試に必要な単語は
すべて教科書にあるので、

新出単語が出てくるたびに
「単語ノート」を作成し、

しっかりと覚えていけば、
入試問題は難なく解けます。

（※ 文法はもちろん必要ですが、

　単語がすべて分かれば、
　入試の長文でもスラスラ読めるのです。）

なお、単語を確実に覚えるための
「単語ノートの作り方」は、

こちらのページにまとめたので、
どうぞご利用ください。

■「辞書を引くほど、成績が上がる」とは言えない

辞書で単語の意味を見つけても、

“見つけたことに満足”してしまい、

その単語を覚えないのなら
無意味です。

つまり、「辞書を引くこと」と、

入試に必須の５００語を覚えることは、
直接の関係はありません。

逆に、どれほど良い辞書があっても、

必須５００語を
「単語ノート」で覚えなければ、

英語の成績上昇は不可能でしょう。

「辞書を引くほど成績が上がる」
と主張する先生は、

多くの場合、高校内容を先取りせよと、
“理想論”を述べているのです。

たしかに、

英検の「準２級」以上（※ 高校生レベル）を
取りたければ、

中学生でも辞書が必須かもしれません。

しかし、気をつけてほしいことは、

入試の必須５００語を
まだ覚えていない生徒さんが、

高校レベルの教材に手を出しても、
内容は理解できないということです。

最悪の場合、

知識が混乱して
基礎部分すら怪しくなり、

高校入試のスコアが、

かえって下がる（≒ 不合格になる）
こともあります。

ですから、

「辞書を使った学習」を
効果的にできる中学生は、

そもそも偏差値６０以上の生徒さんであり、

そういう生徒さんは、

入試必須の５００語が
もう頭に入っているでしょう。

こう考えると、

偏差値５０未満の生徒さんが、

「辞書を引けば成績が上がる」と
思い込むのは、かえって危険、

ということが見えてきますね。

■辞書の“限界”も知っておきましょう

電子辞書であれ、冊子の辞書であれ、

辞書を引けば、ひとつの単語に対して
意味は３つも４つも出てきます。

たとえば、take という動詞は、

「とる」「持っていく」「連れていく」「乗る」など、

いろいろな意味があり、

英文の中で、どの意味になるのかは、
“ストーリーや文脈”によって決まります。

つまり、

ある程度の国語力や、
英文に対する慣れがなければ、

“辞書を引いたとしても”
単語の意味は分かりません。

（※ 複数掲載された意味の、
　何番目が該当するか、分からないからです。）

こう考えてみると、

×「辞書を使うだけで成績が上がる」

とは言えないことが、
ますますはっきりしますね。

＜まとめ＞

中学生にまず必要なことは、

教科書をフル活用して、「単語ノート」を作り、
５００語を完全に習得することです。

辞書を使って、“それ以上”のレベル
（＝高校内容）に進むのは、

高校入試の問題がスラスラ解けるように
なってからがお勧めです。

…

中学生の必須５００語は、
高校でも当然、すべての前提になります。

ぜひ今のうちに、しっかりと
身につけておきましょう！
　